【関西大学ラグビー開幕企画(2)】無名スーパー1年生 京産大FB船曳は元日本代表監督がほれ込む逸材

[ 2020年11月4日 05:30 ]

ラグビーを止めるな!

日本代表を背負って立つ男になれる逸材の京産大・船曳涼太
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 ムロオ関西大学ラグビーAリーグが7日に開幕する。コロナ禍で1年生は新天地でのスタートが大幅に遅れた。例年にないハンディを抱えながら、レギュラーをつかんだ「花園未出場」の2人を取り上げる。

 1メートル78、83キロと恵まれた体格にダイナミックな走り。京産大FB船曳涼太は近い将来、日本代表を背負って立つ男になれる逸材だ。今季から指揮を執る伊藤鐘史監督がひと目見てほれ込んだのはまだコーチを務めていた昨年2月。15年W杯イングランド大会の日本代表メンバーに選出されるなどキャップ36を誇る指揮官にとっても衝撃の出会いだった。

 「素晴らしい選手がいると聞いてはいましたが、走る姿を見てこれは本物だなと。ジャパンを目指せる、そういう器の選手です」

 無名の兵庫工から京産大に進学した伊藤監督にとって、船曳は若かりし頃の自分と重なる。「地元も同じですし、無名校の出身。そういうつながりもありますね」。船曳は全国的には無名に近い存在だが、神戸市立科学技術高2年時にU―17日本代表候補合宿に参加。交流試合初戦だった10月17日の立命大戦は1年生で唯一、先発メンバーに名を連ねた。

 期待に胸を膨らませたキャンパスライフ。淡い思いは、新型コロナウイルスの感染拡大によってかき消された。部活動再開は8月4日。船曳は「同じ1年生でもまだしゃべったことがない子も多くて」と困惑の表情を浮かべる。オンラインでのトレーニングが続いた春先は、画面越しに映る仲間の顔と名前を覚えるのに必死だった。10月から対面授業も始まり「ようやく大学生っぽいことができています」と笑った。

 伝統のスクラムに加え、球を素早く動かすスタイルも今季テーマの一つ。指揮官が掲げる『アクセルラグビー』の中心に魅惑の1年生がいる。

《関大SH溝渕元気は戦術の核を担うタフネス1年生》
 SHはFWのこともバックスのことも頭に入っていなくてはならない。仲間を知ることが仕事のようなポジションで、チーム内の親睦を深めにくいコロナ禍は、1年生にとって大きなハンディのはずだが、関大の溝渕元気はメンバー入りをつかんだ。

 「ランは負けていない」との自負に偽りなく、タフネスを武器によく動く。さばきも速く、仕掛けてもスピードがある。桑原久佳監督は「他の選手からパスが取りやすいと聞く。褒めたくないけど、褒めたくなる」と金の卵だと認める。

 大産大付高では大阪府の決勝が最高成績。不慣れなオンライン授業で大学生活が始まると、同期の仲間と「体力を落とさないように」、日々走った。7月の活動再開後は居残りで、また走った。9月の練習試合でアピールに成功。ボールを動かしてスペースを生み出す戦術の核を担う。

 Bリーグからの昇格シーズンだが、ルーキーに気後れはない。「全国大学選手権に4年続けて出たい」。3位以内なら、高校から夢見る全国への扉が開く。

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